下北沢の新高架下施設「ミカン下北」出店店舗から京王電鉄の戦略を読み解いてみた

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【2024/2/23 追記】

「鶏肉食堂 ザ・トリフターズ」は2024年2月29日をもって閉店とのこと。
「ミカン下北」のお店は、人気のお店とそうでないお店の差がかなりありますね。

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先週、京王電鉄は、下北沢駅の高架下で開発を進める施設「ミカン下北」の開業日を3月30日とし、出店する19店舗を発表しました。
「ミカン下北」に出店する店舗の詳細については、各種情報サイト、ブログ等で発表されているので、当ブログでは出店店舗の詳細情報は省きますが、この出店店舗から、今後の京王電鉄の戦略を読み解いてみました。

私は京王電鉄とは一切関わりのない人間なので、あくまで私の妄想であることをご承知おきください。

「ミカン下北」に出店する19店舗一覧

既にご存知の方も多いと思いますが、本記事の前提として、「ミカン下北」に出店する19店舗一覧をここに記載します。
・東洋百貨店 別館
・ザ・トリフターズ
・PIZZERIA 8
・THE STANDARD BAKERS
・大衆ビストロハルタ
・ダパイダン105
・ハヌリ 한우리
・下北六角
・チョップスティックス
・タイ屋台 999(カオカオカオ)
・TSUTAYA BOOKSTORE
・SHIMOKITA MEAT SPOT
・Island Burgers
・下北沢ワインショップ・Bar FAIRGROUND
・楽観
・Zoff
・図書館カウンター下北沢
・IT by ALBUM
・Konel

京王電鉄の業績

2022年1月時点における京王電鉄の直近の業績をまずは確認したいと思います。
下記は、株予報より借用しました。(単位:百万円)

決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期利益
202003 433,669(-3.1%) 36,024(-10.1%) 34,684(-11.7%) 17,875(-34.3%)
202103 315,439(-27.3%) -20,866(-157.9%) -17,980(-151.8%) -27,519(-254.0%)
202203 予

305,000(-3.3%) 400(101.9%) 3,500(119.5%) 1,800(106.5%)
202203 コ

326,800(3.6%) 4,267(120.5%) 5,533(130.8%) 3,800(113.8%)

2021年3月期の決算は、コロナ禍により経常利益は約180億円の赤字。
2022年3月期の決算予想は、経常利益が35億円の黒字予想。
黒字予想となっていますが、売上高が3,000億円の規模の企業においては、35億円はちょっとした事でブレる範囲です。
1パーセントで30億円にもなりますので、直近のオミクロンにおける騒動などにより下ブレすることは十分に考えられます。
また、テレワークの浸透で、アフターコロナにおいても鉄道収益は元に戻らない可能性が高いと言われている状況。
このような状況において、この先を見据えた企業活動を戦略的に行う必要があります。

「ミカン下北」に出店する19店舗一覧からの考察

さて、話は戻って、「ミカン下北」に出店する店舗から気づくことは無いでしょうか。
そうです、京王グループのお店が一つも入っていないのです。
具体的に言うと、「ベーカリールパ」、「カレーショップC&C」、「京王ストア」、「フラワーショップ京王」、「啓文堂書店」などなど。
今まで京王電鉄が自社テナントビルを建てる時にはほぼセットで入っていたこれらのお店が入っていない。
これには、下記の2つの方針があったと見ています。
・子会社直営事業で稼ぐのでなく、不動産賃料で稼ぐ
・売上よりも利益重視

1点目と2点目は関連していますが、コロナ禍により京王の子会社が運営する店舗は実は結構赤字が出ています。
下記のサイトに掲載されていますが、レストラン京王、京王食品、Freshtea Japan(ハッピーレモン)、、、がコロナ禍により赤字突入や拡大をしています。
京王電鉄株式会社 子会社・関連会社一覧

コロナ前までは鉄道利用客が駅に寄るついでに利用していたものが、緊急事態宣言による人流の抑制により鉄道利用が減ったことにより影響を受けているものと思われます。

一方、消費者の懐も年々厳しくなっており、少し高くても良いものを選ぶ傾向が増えてきています。
特にパン屋なんかは年々こだわりのパン屋が増えているように、鉄道会社の子会社が経営してうまくいくほど簡単な商売ではなくなってきています。
小田急電鉄グループのHOKUOが撤退したのは記憶に新しいところ。
このような状況を受けて、今までは子会社の事業で売り上げを増やしつつ利益もそれなりに取るという戦略だったものが、子会社の新規出店は敢えて行わず、テナントを誘致することで確実に収益を生む不動産賃料で稼ぐ方向に戦略転換してきているのではないか、と思います。

「ミカン下北」においてはコワーキングスペースの「SYCL by KEIO」以外はすべてテナント賃料で稼ぐ戦略となっています。

各街区の敷地面積/延床面積/階数は、
A街区が約1,200m2/約2,800m2/地上5階、
B街区が約560m2/約1,200m2/地上5階、
C街区が約180m2/約580m2/地上2階、
D街区が約180m2/約250m2/地上2階、
E街区が約300m2/約480m2/地上2階

賃料を得る事ができる面積を試算してみました。
A街区、B街区の下記はコワーキングスペースなので一旦除外
・A街区4〜5階 約540㎡
・B街区3~5階 約440㎡
C街区は駐輪場なので除外すると、

3,750㎡

このうち、廊下や階段、トイレなどの共用部分面積をざっくり3割とすると、
実質的な店舗面積は2,625㎡=約800坪となります。

下北沢における店舗賃料相場情報は、平均坪単価 27,155円とのことなのですが、駅チカ、新築であることを考慮し、坪単価月40,000円とすると、
1カ月3,200万円。
1年で3億8400万円。
これに、「SYCL by KEIO」の収入を加えると、年間4億円あたりが「ミカン下北」の収益になると考えられます。毎年ほぼ安定的に入ってくる収益となるので、このような経営環境の元においては新しさをアピールする裏では着実さを取ったという事だと思います。

また、「ミカン下北」の企画検討に当たっては外部からコンサルティング会社(ヒトカラメディア)が入ったことも大きいと思います。京王グループの店舗はどうしても昭和感を醸し出してしまうので、新しいミカン下北にはそぐわないという意見が出たことでしょう。

小田急電鉄の商業施設「reload」が未だ全店舗埋まらない状況において、京王電鉄の商業施設「ミカン下北」は全店舗埋まっていることからも、ひとまず順調に滑り出しそうな気がします。
「ミカン下北」の建設が2年くらい前にズレていたら、全く違った出店店舗になっていたかと思います。
そういう意味ではコロナ禍が始まってから出店店舗の選定ができたことは京王電鉄にとっては不幸中の幸いだったかもしれません。

京王井の頭線下北沢駅の新高架下施設「ミカン下北」2022年3月30日(水)開業!!(京王電鉄ニュースリリース)


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