夏のある日、久しぶりに下北沢の名物中華「珉亭(みんてい)」を訪れました。
言わずと知れた名店ですが、改めて足を運ぶと、この店が置かれている状況も含めて、やはり特別な存在だと感じます。
珉亭が建っている場所は、都市計画道路の予定地。
つまり、いつ立ち退きの話が現実になってもおかしくない場所です。
それでもなお、現在も変わらず営業を続けているという事実だけで、この店の強さと粘りを物語っています。
■ 昭和の空気がそのまま残る店内
中に入ると、時間が少し巻き戻ったような感覚になります。
年季の入ったテーブル、赤い床、壁の色合い。
どれも今の下北沢ではなかなか見られなくなった風景です。
再開発が進み、おしゃれな飲食店が増えた下北沢の中で、
珉亭の店内は昭和の食堂そのもの。
観光向けに整えられた「レトロ」ではなく、
ただずっと使われ続けてきた結果としての空気感があります。
■ 名物「赤いチャーハン」は今も健在
珉亭といえば、やはり赤いチャーハン。
この日も迷わず注文しました。
チャーシューが赤く、チャーハンは見た目はピンクがかっています。
一見するとジャンクですが、食べてみると意外と油っこさは控えめで、
素朴ながらクセになる味です。
パラパラとしっとりのちょうど中間。
派手さはありませんが、「これでいい」と思わせてくれる安心感があります。
何十年も変わらず作られてきた味だと思うと、
この一皿自体が下北沢の歴史の一部のようにも感じられます。
■ ラーメンも、変わらない中華そばの味
一緒に頼んだラーメンは、澄んだスープに細麺というシンプルな構成。
海苔、薄いチャーシュー、青菜という最低限の具材が、昔ながらの中華そばらしさを引き立てています。
最近のラーメンのような主張の強さはありませんが、
これもまた「時々無性に食べたくなる味」。
赤いチャーハンと一緒に食べることで、珉亭らしさが完成する組み合わせです。
■ なくなってほしくない店が、まだここにある
都市計画や再開発の流れを考えると、
珉亭がこの場所でいつまで営業を続けられるのかは分かりません。
それでも今のところ、店は変わらずそこにあり、
いつもの味を、いつもの空気の中で提供し続けています。
下北沢は常に変化する街ですが、
こうした「変わらない場所」があることで、
街の記憶が途切れずにつながっているように思います。
またタイミングを見て、ふらっと立ち寄りたい一軒です。





