小田急電鉄傘下のパン屋「HOKUO」が全店閉店へ

昨日、小田急電鉄および報道で発表がありましたが、小田急電鉄傘下のパン屋「HOKUO」が全店閉店とのこと。

閉店に至った経緯を想像を交えつつ書きたいと思います。

首都圏のパン屋「HOKUO」を運営しているのは、株式会社北欧トーキョー。
「HOKUO」はもともと北海道生まれのパン屋のようで、その後各地に店舗ができ、首都圏の経営をしていたのが小田急グループの株式会社北欧トーキョーでした。

今回閉店するのは、株式会社北欧トーキョー傘下の「HOKUO」。

2021年現在で42店舗あったようです。

株式会社北欧トーキョーは100パーセント小田急電鉄の子会社で、経営状況の詳細は不明ですが、決算概要情報は下記から参照可能です。

■株式会社北欧トーキョーの決算情報

直近の決算一覧
決算末日 売上高 純利益 利益剰余金 総資産
2021年02月28日 – ▲7億0936万7000円 ▲14億7229万5000円 8億5668万円
2020年02月29日 – ▲9541万5000円 ▲7億6292万7000円 9億6889万8000円
2019年02月28日 – ▲4449万4000円 ▲6億6751万2000円 9億2664万円
2018年02月28日 – 7485万5000円 ▲6億2301万7000円 8億7241万6000円

日本経済新聞の記事によると、

コンビニやベーカリーとの競争が激化したほか、新型コロナウイルス禍で売り上げが大きく落ち込んだため

との記載があります。

売り上げは非公表ですが、純利益だけを見ると2018年決算までは黒字であったものの、2019年決算から赤字に転落。
そして赤字額がどんどん増えているといった状況。

2020年2月の決算で1億円近くの赤字だった模様ですが、コロナの影響がほぼ無かった時期だと思いますので、コロナがなくてもじり貧に陥っていたという事なのだと思います。

「HOKUO」は店舗でパンを焼くことはせず、座間の工場で焼き上げたものを各店舗に配送していたようです。
ウェブサイトによると、深夜にパンを作り、早朝までに店舗に届けるというオペレーションを取っていた模様。

焼き上げから店舗での販売までにタイムラグがありますので、味についてはどうしても落ちてしまうのではないかと思います。
味については、コンビニと同じ土俵に立っていたということでしょう。
味を求めるなら美味しいベーカリーで、手軽さを求めるならコンビニで買う人が多いので、テレワークが増えたコロナ禍において駅のHOKUOで買う客層が蒸発したということだと思います。
コロナが明けてもすぐには鉄道乗降客の回復が見込めない中、HOKUOの黒字化への道筋が立たなかったのではないかと想像しています。

「HOKUO」は全店閉店するものの、小田急線沿線の10店舗はパン販売のドンク（神戸市）に事業譲渡されるとのこと。
小田急沿線以外にも店舗がある「HOKUO」。なぜ小田急線沿線の10店舗のみドンク（DONQ）に事業譲渡されるのか？

これはあくまで想像ですが、小田急線沿線の店舗の家賃については、小田急電鉄側としては自社所有ビルの中にあるので、何とか調整の効く範囲。
ドンクとの間で、家賃を減額することと何らかのバーターがあったのではないかとの予想。
例えば、HOKUO従業員約70人のうち希望者はドンクに移籍させてもらう代わりの対価として、など。

ドンクとしては企業文化も違う会社の社員を最大70名も受け入れるのは相当のリスクがあると思いますが、小田急線沿線にはドンクの店舗があまり無いので、これを機にHOKUOを社員含めてDONQ化して、小田急線沿線の客を新たに取り込めるとの思惑もありそうです。

参考までに、ドンクへの事業譲渡の対象店舗は下記。
ＯＸ経堂店、千歳船橋店、祖師ヶ谷大蔵店、新百合ヶ丘店、相模大野店、海老名店、本厚木ミロード店、伊勢原店、中央林間店、湘南台店

「HOKUO下北沢店」は残念ながらドンクへの事業譲渡の対象から漏れました。小田急線内の店舗でも、利益が出ていない店舗は譲渡対象外になったのではないかと推測。下北沢店は立地場所が悪すぎてお客の目に付きにくいです。。

■HOKUOのウェブサイト

■ドンクのウェブサイト

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